あまり更新しなさそうなブログです。普通の日記になるよう頑張ります。でも大半はツイッターかもしれません…。


今後の活動やらなんやら

どうもこんにちは。

なんとなく書きたかったのでダラダラしたためます。 (続きを読む…)

ブログを見ていただきましてありがとうございました

先日の天野警部の事情につきましてマシュマロをいただきましたのでお返事させていただきます。

 

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天野丞警部の事情

こんにちは。

天野警部の体事情につきまして何件かお問い合わせをいただきまして…。みなさん知りたいと思います…笑

ですので今日はそんな天野警部の事情を公開しようと思います。

いつになるかわかりませんが、『解剖カルテ』解説本を作ろうと思っておりまして、そちらにも設定等は綴ろうと思っております。

結構ショッキングな内容ですので、イメージを崩したくない方はお読みしないことをお勧めいたします…。

 

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『医學生 神戸朔太郎の解剖カルテ』マジでマジな初期プロットです

お久しブリーフ。今回は『医學生 神戸朔太郎の解剖カルテ』マジでマジな初期プロットを全文載せようと思いましてブログ書きました。下に続きます。

 

明治21年7月。

主人公(医学生)の目の前には人。ひと。ヒト。

建設途中の木の梁に左右の腕を広げた形で、両足は甲で重ねられそれぞれ縄で縛られていた。

右の脇腹には傷跡。

 

 

少し前、今朝。

「医学生さんー起きてくださいましー」声を聞いて目を開ける医学生。

むくりと体を起こす主人公。寝ていた布団の周りはとにかく汚い。本だの服だの紙だの…。壁には人体の解剖図。

医学生が住むのは木造2階建ての日本家屋。家主は女性。

「今日もまたお寝坊なさいましたのであさげはなしですよ。おにぎりを持って行ってくださいまし。不養生では却って勉学に支障を来しますわ」

「いつもすみません…。大事に戴きます。それでは行って参ります」あくびをしながら家を出る医学生。

 

おにぎり片手に街中を歩く医学生。

店頭で商品を売る人、籠を持って街を練り歩く商人、日傘を翳しながら歩く婦人…。大都市なので西洋化している街並み。

とある一角に人集り。医学生も気になって覗いてみる。

そこには木の梁に括り付けられた一人の男性の死体が見えた。周りの野次馬はざわざわしている。

死体を見る医学生。観察するように指をさしながら。

そこへ数人の警察がやってくる。真ん中にもう一人の主人公(警部)が威風堂々と歩いている。

「奇妙な死体だな。まるで処刑だ」他の警察が口を押さえ目を背ける中、警部は死体に近づき観察する。

「この死体の身元は?」「それはまだ…ただ先日、商家の女から『主人がいなくなった』との訴えがあったそうですのでそちらを確認します」他の警察が報告する。

「そうか。しかし死体を梁に括り付け晒すとは…犯人にとっては相当な恨みの対象だったのだろうか」首をかしげる警部。

「胸の下を刺されたことが死因か…」「そうとも限りませんよ警察さん」警部の後ろから声がする。警部は背後を一瞥する。

その先にはおにぎりを持った医学生が立っていた。

「何?」「ほら、こちらから頭部を見てください」項垂れた頭頂部を指差す。

「毛で隠れてますが、よく見ると傷ありますよね。ご遺体に血は付いておりませんが、ここ最近雨は降ってないので殺害後に血痕を洗い流したのでしょう」

ざっくりと所見を述べる医学生。警部が頭を確認すると、皮膚がめくれ陥没した傷があった。

「…確かに傷がある…」「詳しく検視してみないことにはわかりかねますが、おそらく頭頂部の傷が致命傷でしょう。このご遺体の状態ですと」

おにぎりを食べながら意味深な発言をする医学生。「それは何の意味だ!」「ああ、あとこの季節ご遺体は腐敗しやすいので早めに検視を」

そう言い残して医学生は去っていった。

「何だあの少年は…」警部は追わず医学生を目で追う。「あれは帝国大学の制帽ですね。医学生…ということでしょうか?」他の警察も怪訝な顔をして医学生を見る。

 

帝大医学部の教室。20人ほどが座学をしている。

「おい君。こちらへ一緒に来たまえ」教室の後ろのドアが開き、先生が主人公の医学生を呼び教室の外へ連れ出した。

「先生、どちらへ行かれるのでしょうか?」「警部殿が君を呼んでおられたのだ。これから解剖室へ向かう」先生の後ろをついて歩く医学生。

解剖室にドアを開けると、中には先ほどの警察と台の上に乗せられた人がいた。

「やはり君はここの医学生であったか。先ほどは世話になったな」警部は帽子を脱ぎ医学生を見る。

「私は警視庁警部だ」右手を差し出す警部。それに応え右手を出し握手する医学生。

「帝国大学には幼い少年も通うのだな」「僕は少年ではありません。立派な壮年の男です」少しムッとする医学生。

「それはすまない。失礼な発言であったな。訂正しよう、青年」帽子の上から頭をポンと叩く警部。

「それより、なぜ僕が呼ばれたのでしょうか?」

「ああ、話を進めよう。先ほどの現場での君の言葉が妙に気になってな。君にこの死体を調べていただきたい」

「僕が何か言いましたでしょうか?」「君は『この死体の状態なら頭頂部の傷が致命傷だ』と言った。あれはどういう意味だ?」

「ああ、それは可能性の話です。あのご遺体を見て警部さんは何を思いましたか?」

「強い恨みによる殺し。胸を刺し、頭を殴り、死んだあとも人目に見せつけるかのように晒し者にした」

「ああ、なるほど。その可能性もありますね。僕はこう思いました。敬っているんだと」

「敬う?殺した人間をか?」

「ええ。警部さんはキリスト教をご存知ですか?」

「…西洋の宗教のことか?」「そうです。先生はご存知ですよね」「…そうか、磔刑」隣にいた先生に聞く医学生。先生はハッとした。

「そうです。このご遺体はまるでイエスの磔刑です。十字架に磔にされ息絶えたイエスを表しているかのように、このご遺体は手と足を固定され右の脇腹を刺されていたのです」

「すまない、私にはさっぱり意味がわからない」ハテナを浮かべる警部。

「つまり、頭を殴打して殺害しご遺体を見世物のように晒すのならば胸の下の傷は必要ない、ということです。頭頂部の攻撃でも人は死にますから」

「しかし…刺し傷だけでも死なず頭に一撃を食らわした、という可能性もあるではないか!」警部が突っ込む。

「確かにその可能性はありますね。ですが、それならばわざわざ殴らずに刺せばよいのです。凶器は刃物で十分ではありませんか?」

「……では頭の傷が致命傷としよう、その磔刑とやらを模倣する意図は?なぜ敬う?」

「キリスト教において、イエスは崇拝する対象になります。そのイエスの磔刑は絵や偶像になるほど信徒にとっては特別な場面なのです。恨むほど憎い相手ならこれほど崇高な格好はさせないでしょう。だから『敬って』いるんです」

「そんなもの…当事者にでもならないとわからないではないか」未だ首をかしげる警部。

「ええ。僕はあの状況とご遺体の外見から考えられる可能性を話しているだけです。先生、もちろん解剖なさるのですよね?」

「あ…ああ」医学生に話を振られて慌てる先生。

「…とりあえず聞きたいことは以上だ。それでは検視の結果お待ちしております」帽子を被り解剖室をあとにする警部。

「ではお見送りを…」「いや…ではそこの青年にお願いしよう」警部は医学生を連れて解剖室を出て行った。

 

「君は良い目をしている。医者にはもってこいだな」警部が笑みを浮かべながら医学生に話しかける。

「体があまり良い方ではないので、学問を嗜んでおりました。警部こそ、警察にふさわしい威厳をお持ちの方だ。あなたのようなお方は初めてお目にかかります」

「?それはどういう…」

警部を見上げる医学生。まっすぐ見つめる医学生の目を見て、警部は思わず顔をそらす。

「あまりここへ立ち寄らない方が良いかもしれません。ああ、誰にも告げませんので」にっこり笑って1本立てた指を口元に持ってくる。

「……」眉をひそめ、大学をあとにする警部。

 

再び解剖室に入る医学生。何人かの先生がいた。

「先生、せっかくですのでこの解剖に立ち会ってもよろしいでしょうか」「ふむ…良いだろう。君の洞察力には感心していたところだ。こちらへ来なさい」

先生の1人が右脇腹の傷を調べていた。

「見たまえ、この傷は切り口が開いていないだろう?これは死後につけられた傷である」

「血液の凝固が見られないからですか?」「左様。生活反応はなく創口は実に綺麗である」ピンセットで傷口を開き虫眼鏡で観察する先生。

「頭部の傷には生活反応あり。…陥没しているな」違う先生が頭部の傷を観察する。

「この陥没の形…高い位置から振り下ろされたのだろう。上部が鋭角、下部はなだらかな鈍角のものではないだろうか」

凶器の形を手でイメージする医学生「…椀ですか?」

「ふん…そうだな…半球形と推定するならば、確かに椀のような形のものだろうか。陥没するほどならば金物であろう」

 

一方、警部たちは被害者宅へ。

「…はい、確かにうちの従業員でございました」女が青ざめた顔で警部と話す。

「うちは仏具の商いをしているんですがね、時たま行商もしているんですよ。昨日の昼に外を出てから…それっきり」

「どこかへ行くとは聞いていなかったのですか?」

「へぇ…あいつは真面目で仕事一筋の人間でした…」店の主人が頭を垂らす。

「…行商していたとのことだが、どのような場所を回っていたのですか?」「得意先のお屋敷なんかに足を運んでおりました」

「失礼ですが、亡くなった方はキリスト教の信徒でしたか?」「え?いやぁ…あいつは信心深い奴ではなかったですが、拝むのは仏様にですよ」主人が言う。

「ああでも最近、教会に足を運んでうちの物を売っておりました。蝋燭が売れるんです」

「蝋燭?つまり、教会に出入りしていたのですか?」「ええ…」

 

警察署に戻った警部の元に医学生がやって来た。

「先ほどの医学生ではないか」笑顔で迎える警部。

「先生から検案書を持っていくよう使いを頼まれました」封筒を警部に渡す医学生。

「それはご苦労であった。して、何かわかったか?」「やはり頭部の傷が致命傷でした。脳が腫れ出血が多かったのが死因です」

「殴られて殺されたか…なんだ?凶器は椀のようなものとは…」「ああ、推測ですがそのような形の物で殴られたのかと」

「君の意見は?」「僕ですか?なんでしょうね…こんな形で金物で…」医学生の仕草を見て警部はハッとする。

「…おりん…とか?」「ああ、確かにそのようなものですね。ある程度重さもありますから、振り下ろせば深手を負わせることも可能でしょう」

「害者は仏具店の従業員だった。仏具店ならもちろんおりんが揃っているな」

「そうですか。仏具を売る人間が殺されキリストのように磔刑にされた。興味深い事件ですね」目をまんまるに開く医学生。ちょっと楽しそう。

「この害者はどうやら教会に出入りしていたらしい。ここらでは一堂しかない。これから訪ねる予定だ」「それは好都合です。僕も行きます」

「なんだ、君はキリストの信徒だったのか」「いいえ。単なる知的好奇心です」

 

とある教会。警部と医学生(と警察他)は教会に足を踏み入れる。中には誰もいない。

入り口の真正面にキリストの像が掲げられている。

「…本当だ。今朝の死体と同じ格好をしている」警部は驚いた表情をしている。

「どなたか、ここの責任者はいないか?」警部が叫ぶ。医学生は辺りをキョロキョロ見回す。

「は、ようこそ。私がここの責任者です」奥から洋服姿の男性が現れた。

「私は警視庁警部だ。少々話を伺いたい」「ええ、どうぞ。なんでもお答えいたします」

「ここに仏具店の従業人が行商に来ていたと聞いた。ご存知か?」「ええ、知っております。その行商人からはよく蝋燭を買わせていただいております」

「ここはキリスト教だろう?なぜ仏教の道具を買うのだ?」

「仏具と言っても蝋燭は共通のものではありませんか。確かにここにあるものは西洋から持ち出したものですが、西洋の蝋燭に比べ日本の蝋燭は長く火を焚くことができるので私は愛用しているのです」苦笑いする神父。

「伺いたいこととは…それだけでしょうか?」「いや…ここに人が来ることはあるのか?」

「ええはい…ここは自由に出入りすることができます。どなたでも神の加護を受けれるように。神の前で祈り、罪を悔い、改めることができるように」

「信徒でなくともこの像は誰でも目にすることができたということか」警部は考え込む。

「懺悔をしたところで罪は消えません」医学生が振り向き口を開く。

「それはもちろん、罪は法で裁かなければなりません。しかしそれは神ではなく人の手によってです」

「では罪人を磔刑に処した人間は誰に裁かれますか?」

「磔刑を決めたのが法であるならば、処刑を下した人間は法に守られるでしょう」

「では法ではなく、個人の思惑では?」

「……それは処罰ではなく、殺人です。ですが神は…きっとお許しになるでしょう」

「今朝、ここを出入りしていた仏具店の従業員が殺され、あの像のような格好で見つかったのだ」

「なんですって…!?それで…ここへ来たのですか?」

「あの死体は確かにそこの像と瓜二つであった。右脇腹の傷さえも。ここを出入りしている人物で、その従業員に関係のある者、または何か心当たりは?」

「私にはさっぱり…いつも丁寧な接客でしたが、彼と話をする者もおりませんでした」困惑する神父。

「そうですか。では今日はこれで失礼する。また何か伺うことがあったらよろしく頼む」

「ええもちろんです。警察の為なら何でもお答えいたします」頭を下げる神父。

「ああすみません。よろしければ聖書を1冊貸していただけませんでしょうか?」

「ええよろしいですよ。ぜひ、あなたの周りでも広めていただきたい」

「ええわかりました。ありがとうございます」

神父から聖書を受け取る医学生。

 

「はい」医学生は先ほどの聖書を警部に渡す。

「何だ?」「警部が読んでください」「はぁ?君が読むと言って借りたのではないか?」

「僕が読むとは一言も言っておりません。これは警部が読むべきです。それとも僕から説明したほうがよろしいですか?」ニッコリ笑う医学生。

「…何を知って欲しいのだ?」

「犯人がなぜ殺したのか理由はまだわかりません。ですが、なぜあのようにご遺体を晒したのかは知ることはできます。これが元なのですから」

一礼して医学生は帰っていった。

「…彼は何を考えているのでしょう?」「考えの答えを考えているのだ」呆れる警部。

 

警察署に戻った警部は机で聖書を読んでいる。

「膨大な言葉だ…」パラパラと流しながら聖書を読む。

「…ん?」警部は何かに気づく。「『恨み』ではなく『敬う』…あれは裁きではなかった…」

 

翌日。帝大医学部にて。

「おい君。こちらへ来たまえ」昨日と同じく授業中に呼び出される医学生。

先生に呼び出され別室に案内されると、そこには警部がいた。

「授業中すまない。これから私と一緒に来てくれ」「僕は授業中ですが…」「だからすまないと言っている。少しこの学生をお借りします」

警部は医学生の腕を引っ張り部屋を出る。

 

「何かわかりましたか?」

「聖書を読んだ。君は最初から気づいていたのか?」「何のことですか?」キョトンとする医学生。

「君はあの磔刑を『敬い』と言った。イエスとやらは罪人とみなされ十字架に磔にされ死んだ。犯人は裁くために磔を再現したのではなく裁かれた時のイエスを再現したのだな」

「僕はそう思っております。イエスの罪を表しているのではなく、イエスの神秘性を表したのだと」

「なぜイエスの像や十字架ではなく、死んだ人間を崇めるのだ?その先が目的だったのか?」

「それは、これから行く先に答えがあるのではありませんか?」うすら笑みの医学生。真顔の警部。

 

着いた先は昨日の教会。扉を開けると神父が祭壇の前に立っていた。

「これは…昨日の…。今日は何のご用で?」

「昨日の聖書を返しに。それと、神の御前で罪を悔い改めるために」片手に聖書を持つ警部。

「どうぞこちらへ」

 

「聖書はいかがでしたか?」

「とても…難しかったです。私にはね」苦笑いの警部。「だが…答えが書いてあった」

「答え…ですか?」少し困惑する神父。

「それを読むまでは、被害者は『処刑された』ものだと思っていた。しかし、昨日の死体は処刑のためのものではなかった…」警部は椅子に腰をかけて口を開く。

「『復活』のためですね」今度は医学生が口を開く。

「…復活ですって?」首をかしげる神父。

「ええ。磔にされた被害者は罪人ではありません。罪人と説くならばただ磔にし見せしめだけでいいのですから。まぁ、イエスを罪人とするならば別ですがね」

ニヤリと笑う医学生。

「そして、僕はあの磔刑を見たとき一つ疑問が浮かびました。右脇腹に傷までつけて再現しているのに、ご遺体は縄で縛られていた。本来なら杭で右手、左手、両足を固定するはずです」イエス像を見ながら。

「おそらく準備をしていなかった。当初計画していなかった行動だったのでしょう。したがって、そこから推測するにそもそも殺害する計画もなかった」

「…そもそも信徒の犯行ではなく、たまたまこの教会に入ったものがイエス様の像を見て模倣した可能性もあります…よね」

「ええもちろん。ですが、あの像を見ての犯行であるならば、1つ不自然な部分があります」医学生は人差し指を立てて、それを像の方に向けた。

「私は聖書を読むまで、キリスト教については彼から聞いた話でしか知らなかった。イエスの磔刑…十字架に両手両足を固定され、右脇腹を刺された姿と聞いていた。聖書にも脇の下を刺したと書いてあった」警部は聖書に目を向ける。

「…その通りではありませんか」少し汗がにじむ神父。

「ではあの像はなんなのだ?」イエスの像、磔刑の像を指差す。十字架に左右の手を、両足は重ねた状態でそれぞれ杭を打たれた姿だ。

「右の脇腹に傷などないではないか」警部の一言に神父はハッとする。

「僕は獨逸に一時期住んでおりました。西洋ではキリスト教は一般的で教会も多数ありましたし、美麗な宗教絵画や彫刻も見てきました。受胎告知、イエスの磔刑図、描く人も、描かれたものも人それぞれでした。磔刑図はイエスが十字架に括り付けられている最中のものもあれば、イエスが絶命し、その死を確かめるために右脇腹にロンギヌスの槍を指す場面のものも。この像は前者だ。息絶える前の姿。キリスト教徒でもない人間があの傷を忠実に再現できる可能性は限りなく低いでしょう。なんせ聖書にすら左右どちらを刺したか書いていないし、左右両方の可能性だっておるのですから」

「つまり、あの像を見て模倣したとは考えられません」強い眼差しで神父を見る医学生。

「イエスの死後を再現したのには理由があります。先ほども言いましたが、『復活』が鍵です」医学生は話を続けた。

「イエスは死に、埋葬され、のちに復活したと言われております」神父の方が少し震える。

「なぜ殺害したのかは不明です。しかし、なんらかの原因で死んだ。殺してはいけなかった、殺してしまった、死んでしまった。動揺した犯人は信仰にすがることにした。イエスのように磔刑に処され、埋葬され、のちに復活することを願ったのです。…これが、ご遺体を括り付けた理由です」

「…死んだ人間は…甦りはしない!」神父は声を荒らげた。

「ならなぜ殺した!?」警部も声を荒らげる。

「私がやったという証拠がありますか!?理由はなんですか!!?」「証拠ならあります。ここに凶器がありますから」警部と神父は医学生を見る。

「凶器はこの燭台です。燭台の底部が頭頂部の傷の形に限りなく近いですね」燭台を持ち上げる医学生。

「そんな…その形のものなら同じようなものがいくらでもあるではありませんか!」

「この燭台と他の燭台、違いがあるのにお気づきでしょうか?」医学生は隣にあった同じ形の燭台を手に取った。

「…同じものだろう?」「いや、蝋燭の高さが違う」警部は前のめりになり燭台の蝋燭を見る。

「ええそうです。蝋燭の高さが違います。この燭台だけ他の蝋燭より高い、つまり他より燃えていないのです。蝋燭をつける順番、消す順番を考慮しても、これだけ差が出るということはしばらくの間この燭台の蝋燭だけ火が消えていたということです。不自然ですよね」

黙る神父。

「この燭台をご遺体の傷と照らし合わせれば、自ずと答えは出るでしょう」

「まだ神の前で偽るか?それとも、罪を認め、悔い、改めるか?」警部は神父の前に立つ。

「俺は悪くねぇ!あいつが…あの野郎が全部悪いんだ!!黙っていればいいものを…!」目は血走り、口調が変わる神父。

「もう神だの罪だの説こうとは思いません…祈ったところで過去は変わらない…罪は消えないのだ!」神父は懐から拳銃を取り出した。そしてそれを自分のこめかみに当てる。

「!?」医学生が声を上げるよりも早く、警部は前に出てサーベルを抜いた。サーベルを銃身めがけて振り上げる。

神父の手から拳銃が落ち、神父は尻餅をつく。

「死んだ人間は甦りなどしない。死んだところで人間の罪は、消えることはない」神父の顔に向けてサーベルを突き出す警部。うなだれる神父。

 

後日、日曜の昼間。

部屋の布団で寝ている医学生。

「医学生さん、お客様ですよ。起きてくださいまし」布団を剥ぎ取る家主の女。

「…僕にお客様ですって?一体どなたでしょうか?」「警部さんですよぅ。早く起きてくださいまし」警部の名前を聞いて目を見開く医大生。

浴衣姿のまま部屋を出て客間に行くと、詰襟シャツにズボン姿の警部が座っていた。

「…君は客の前でも寝間着で現れるのか?」少し驚く警部。「急に訪ねていらしたのが悪いのです」むすっとする医学生。

「それはすまなかったな。今日来たのは、先日の事件の報告だ。君も知りたいであろう?」「だいたいは新聞で読みました」

「『口論になった末の犯行』とだけしか書かれてはいなかっただろう。聞きたくはないのか?」「実のところ、知りたいです」にっこり笑う二人。

「あの神父は過去に賊だったことを吐いた。明治維新直後、世が混乱している最中で民家に押入り金品などを強奪しては家主や家族の者を殺したこともあったそうだ。そのうちの被害者の一人が、今回殺された被害者だった。幼い頃に家族を失い、あの仏具店に奉公することになったらしい。あの神父はその後に海外へ逃亡していたそうだ。そこでキリスト教の信徒となり、布教のため日本に戻ってきた。そして偶然、二人は再会したそうだ。神父曰く、被害者は一目見てかつての仇だとわかったそうだ。そしてそのことを問い詰められ、カッとなり殺害してしまったのだと」

「だから『敬った』のですね」「…と言うと?」

「被害者に罪はなかった。罪は自分にあった。神父は被害者を『主』とし、敬うことで許しを得ようとしたのです。神ではなく、被害者から」

「…ともあれ奴は法によって罪が決まり、法によって裁かれるのだ。君のおかげだ」微笑む警部。

「時に…」「はい?」微笑む顔から一転、真顔になる警部。医学生はキョトンとしている。

「なぜ、私は帝国大学に立ち寄らないほうがいいと告げたのだ?」「ああ…」頭をぽりぽりと掻く医学生。

「警部…あなたはペテン師でいらっしゃいます」「っな…!!?無礼な!!」ガタッと立ち上がる警部。

「背も高く、肩幅も広い。とても男性的であります。ですが、あなたの骨は男性のものではございません。線は細いものの、腰はやや広い。顔についても男性よりなだらかな顔をしていらっしゃる。医学に通じている者であれば皆が知っている基礎の話です。…なぜ女人禁制の警察組織にあなたがいるのでしょう?」

医学生の話を聞いて言葉を失う警部。そして、静かに座り直した。

「…生まれつきだったのだ。戸籍上女だが…成長しても私には女のそれがなかった。昔から男勝りだったこともあり、男として生きることを決めたのだ。父もまた私を長男として育ててくださった。警察庁所属の父の縁故で男として警察官になったのだ」

「そうですか」「何?それだけか?」

「言いましたよね?僕は誰にも告げません、と。ただ、医学的に見てとても興味があります」目を輝かせる医学生。

「…やはり君は医者にもってこいだな」苦笑いの警部。

「あなたこそ、僕に秘密を打ち明けた割には堂々としていらっしゃいます。自尊心が高いお方だ」にっこり笑う医学生。

「だが、私は今後とも帝大には通わせてもらう。仕事上必要だからな。また君と話がしたい」

「こちらこそ、警部とまたお話がしたいです。男性のあなたと女性のあなたを見てみたい」

「それはどうかな。少なくとも、警察にいる限り私は男だ」威勢のいい笑い声をあげる警部。最後に二人は握手を交わす。

 

 

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